2016年本屋大賞受賞作品
『羊と鋼の森』は、2016年4月、全国の書店員が“今、いちばん売りたい本”を選ぶ「本屋大賞」を受賞した宮下奈都の小説。初版の発行部数は6,500部だったが、口コミを中心に評判が広がり、累計発行50万部を突破するベストセラーとなった。
北海道の山あいにある静かな田舎町で生まれ育った高校2年生の外村(とむら)は、ある日担任教師からピアノの調律師・板鳥(いたどり)を体育館へ案内しておくように頼まれる。外村は「調律」という言葉の意味すら知らなかったが、板鳥の仕事を眺めているうちにピアノの音色の奥深さに魅了され、いつしか調律師を志すようになる。
外村は高校を卒業すると、板鳥に紹介された専門学校で調律の基礎を学んだ。2年後、再び北海道へ戻った外村は、板鳥の勤める「江藤楽器」に就職し、板鳥や先輩の柳に励まされながら、調律師として日々成長していく――。
みんなの感想
◆音を言葉で表現する
ピアノや調律師という仕事についてはあまり詳しくない私ですが、テレビで紹介されているのを見て興味を持ち、読んでみました。実際には聞こえない「音」を表現する宮下奈都さんの美しい文章が印象的で、さわやかな読後感のある小説でした。
◆上品な物語
タイトルの「羊」と「鋼」は、それぞれピアノの部品に使われている素材です。この本を読んで、ピアノの演奏会に行ってみたくなりました。同じ調律師の板鳥さんや柳さんをはじめ、登場人物も優しい人たちばかりで、とても上品な物語だと思います。