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あしたのジョー

高森朝雄/ちばてつやのあしたのジョー(電子コミック)レビュー

あしたのジョー 【電子コミック】

著者 ページ数 クチコミ評判
高森朝雄,ちばてつや 228ページ ★★★★★

国民的ボクシング漫画

あしたのジョーは、高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや(漫画)の国民的なボクシング漫画で、1967年~1973年まで週刊少年マガジンで連載されアニメも大ブームとなった作品出津。

あしたのジョーといえば、東京山谷のドヤ街にあらわれた主人公矢吹丈がライバル力石徹との戦い経て、紆余曲折ありながらもカーロスやホセ・メンドウサと戦い頂点を目指し、やがて燃え尽きて灰になるといったところが誰もが知る明日のジョーの大まかなあらすじですが、今回はあえて女性との関わりについて評します。あしたのジョーの主人公「矢吹丈」はちょっとへらへらして人を食ったところもありますが、基本的には一貫してクールで硬派です。女性にうつつを抜かすといったキャラクターではありません。女性との関わりよりも、むしろ男性との関わりを大切にしています。

そんなジョーにも、彼に真剣に思いを寄せていた女性が二人いました。1人は少年院を退院してからアルバイトをしていた乾物屋の娘の「紀子」。そしてもう一人は白木ジムの会長の孫であり、後に自身が会長となる「白木葉子」です。紀子はジョーに思いを寄せながらも、結局は彼とは住む世界が違うと感じて、ジョーの親友である西と結婚します。ですがジョーとのくだりでは何とも言えない見え隠れする甘酸っぱさが本作の一服の清涼剤とし表現されており、紀子との関わりは秀逸です。

白木葉子は、力石徹に思いを寄せて彼に夢を託していましたが、力石亡き後は丈を立ち直らせてボクサーとして一流にすることを生きがいにします。やがてジョーがパンチドランカーであると気づいたとき、初めて自身がジョーに惹かれていたことに気づきます。

ジョーにとって最後の試合となる世界戦では、試合前に葉子がジョーにリングに上がるのを止めさせようと控え室に来て「思わず告白する」シーンは涙なくしては見られません。しかし丈は、葉子の頼みを振り切って世界戦に臨みます。葉子は試合を見ることに耐えられず逃げようとしますが、結局は最後まで見届けることを決意します。試合後葉子にグローブを渡すシーンは、涙なくしては見られません。ジョーが葉子の想いを理解し受け止めたのではないかと思わせるシーンです。これほどマンガで切ないシーンも珍しいでしょう。

そして有名な燃え尽きたシーンで幕を閉じるわけですが、作者のちばてつや曰く「もうあれほどの迫力をもって書くことはできない」とテレビの企画でジョーの絵を描いてほしいと依頼された際に答えています。是非その迫力と感動のフィナーレを本書で味わってください



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