笑えて泣ける幽霊ラブコメ
1999年から2002年にかけて『LaLa』(白泉社)で連載されていた本作。今年の4月から6月にテレビドラマ化されるにあたり、今また注目を集めている。作者・田中メカのコミック作品ですが、14年の時を経て連載が再開されたこともあり、コミックスで以前のストーリーを“復習”する人が急増中!
高校3年の受験生・堤円(つつみまどか)は、あるとき、亡くなってもあの世行きを頑なに拒否するおじいさんの幽霊と、GSG(極楽送迎)のナベシマとのケンカに遭遇する。GSGとは、あの世に行けない霊たちを極楽へといざなう仕事をする会社のことで、リアルに幽霊と接触できる自分に困惑している円に、ナベシマは極楽送迎を手伝うアルバイトをしないかと持ち掛けるのです。最初は気が進まず断る円でしたが、死者の様々な想いに触れ、自分の体を貸すという方法で協力することに…。
無事に迷った霊をあの世に送り届けることはできるのか!?
みんなの感想
◆笑ったり泣いたりのベストバランス
ラブラブシーン満載の少女漫画はちょっとお腹いっぱいっていう人にピッタリの異彩を放つラブコメ作品です。「死」をテーマにしていますが、重すぎたり軽すぎたりせず絶妙なバランスで話が展開されるので、重苦しさや、死を軽視する薄っぺらさは感じません。
ナベシマのコスプレや、ゆずこの不器用さ、円ちゃんを交えたドタバタは毎回笑わせてくれます。一方、この世に想いを残したまま死ななければならない人が、切なさや無念さを感じながらも、徐々に自らの死を受け入れていく様子にはホロリとさせられ―
楽しんだり涙したり…心動かされる素敵な内容です。
◆ナゼ着ぐるみ…? の違和感にハマる
自分の死に納得できない幽霊の気持ちを浄化させるというストーリーは、どこかで見聞きしたことがあるような気もしたのですが。読後の既読感が無いのは、オリジナリティーに富んだギャグ表現で盛り上げてくれるからだと思います。可愛くておもしろいです。
後半の読み切り2本は、その後の展開を読者に想像させるようなラストでありながら、しっかりと収束しているので、不完全燃焼にはならないようにという組立の巧妙さを感じます。