篠原とおるが完成した作品
愛と憎しみをモチーフにした本「さそり」は、愛する男に憎しみを抱き、殺人未遂を犯してしまう主人公の松島ナミの復讐と壮絶な女子刑務所を描いた作品として人気のあるものとなっています。本作「さそり」において篠原とおるの作風が昇華し篠原とおるの作品の原型ができたように感じられれます。後に発表される82分署などがその典型ではないでしょうか。なおこの「さそり」は1970年から1975年まで連載された作品でビッグコミックス第一弾の作品でもあります。
殺人未遂の罪で女子刑務所に入ることになったナミは、かつての恋人への復讐とともに悪徳看守や他の女囚たちからの嫌がらせに対して、クール退治していきます。主人公松島ナミは、警察にはめられたことに対する復讐を失敗したことから女刑務所へ来たのですが、これが刑務所の中で恋人への復讐への野望を膨らませることになります。
この作品がマンガであっても復讐劇のプロローグを描く第1巻は、女子刑務所でのイジメやリンチに耐えていますが、さそりのように攻撃していく姿は、美貌の女囚のダークヒーロー松島ナミとして、本を読む者を感動させるものとなっています。この作品は、映画ではよく知られていますが、原作の漫画で楽しむ作品は、映画ファンならず多くの漫画好きに読んでもらいたい逸品です。またTBS系列でさそりはテレビドラマ化もされております。