» page top
さよなら絶望先生

久米田康治のさよなら絶望先生(電子コミック)レビュー

さよなら絶望先生 2007年講談社漫画賞少年部門受賞【電子コミック】

著者 ページ数 クチコミ評判
久米田康治 160ページ ★★★★☆

いつの間にか言わなくなった「絶望した」

久米田康治作の「さよなら絶望先生」は、2005年から2012年まで週刊少年マガジンで連載されTVアニメにもなりました。何事に対してもネガティブな教師である糸色望(字面を続けて読むと絶望)と、何事にもポジティブな少女風浦可符香を中心とした、どこか大正ロマンを感じさせる学園ブラックコメディ漫画です。

これといったストーリーは存在せず、教室の中で絶望先生が連載当時の時事ネタや風潮、あるあるネタを織り込んだシュールな会話を生徒たちと繰り広げていくだけというフォーマットの漫画です。当時に起きたことや、サブカルチャー的なネタに詳しい人にはたまらないネタが多いのが見どころです。

ただし、2005年から連載が始まり時事ネタをオンタイムで繰り広げるスタイルであったためその当時の事を知らない人には何も面白みが分からないであろう事が弱点と言えば弱点です。しかし、当時を知っている人ならば、「懐かしネタ」として楽しむことが出来るでしょう。ただのシュールなブラックコメディだと思いながら読んでいると、最終回で裏切られます。

ラストの衝撃は前作「かってに改蔵」を彷彿とさせるインパクトで、唐突に糸色先生と彼の受け持つクラスの秘密が明かされるのですが、これがそれまでのトーンと全く違うので戸惑います。後日談のようなものもあるのですが、これがまた意外な展開です。とりあえず、シュールネタを楽しみながら読み続け最後で驚く、そういった楽しみ方ができる漫画であるといえます。



書評を投稿する

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。