思春期の少女を克明に描く三島由紀夫賞受賞作品
『しろいろの街の、その骨の体温の』は、『村田沙耶香』の作品で第26回三島由紀夫賞受賞した作品です。この作品は主人公が小学四年生の頃から始まります。この小学校四年という微妙な年ごろは思春期をちょうど迎える年頃であり、ここから大人への階段を上っていくという重要な年齢です。
この複雑でシビアな年齢を、女の子という男よりも成長が早くて性や愛に対して興味を抱きやすい少女の視点で話が進んでいきます。そうした子供の性というのをテーマにした作品はありますが、「しろいろの街の、その骨の体温の」場合ですと、子供の無邪気さや残酷さが表に出てきて、単純にかわいらしいとも、単なる成長物語とも見ることができず、非常に奥深い内容となっています。
誰しもが性に対する興味というものを持つ年ごろだからこそ、その年代の子供にしか考えることのできないような施行で話が進んでいくので、こうした子供の動きや心理面を書ききっているということがこの作品の見どころともいえるのではないでしょうか。
青春というものをすっきりと描いていなくて残酷さが見え隠れするというところで、単純なさわやかな作品を求めているというような方には不向きな作品かもしれませんが、子供ならではの残酷さを見せており子供の深い心理面を楽しみたいというような方にはおすすめできるような作品です。