爽快なカタルシス
「じらしたお詫びはこのバスジャックで」は滝本竜彦や万城目学を輩出した文学賞、ボイルドエッグズ新人賞でデビューを果たした大橋慶三の小説作品です。
バスと言う密室空間を舞台に繰り広げられるユニークな物語展開が話題を集めています。バスジャック犯は自称「人を殺せるのに殺さない男」。バスジャック犯に占拠されているバスに乗り合わせた8人は、それぞれ複雑な事情を抱え、思わぬ展開に話が進みます。
「じらしたお詫びはこのバスジャックで」に登場する人物は、マイペースにも程がある・・・と言う個性的なキャラクターばかり。読んでいる最中から結末が気になって気になって仕方なくなるところも、「じらしたお詫びはこのバスジャックで」独特の魅力ですが、きちんとカタルシスを迎えるので安心してお読みください。
しかもそのカタルシスは今までの小説にはない全く新しい着地方法。作品はもちろん、作者本人に対しても「どんな人物なんだろう」と気になってしまいます。ちなみに、作者の大橋慶三は映画祭で度々賞を受賞している映画監督、脚本家です。「いたずらセクシーボーイ」、「デッド・エクイティ・スワップ」など、数々の映像作品、演劇作品、口述作品を発表しています。