それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコは、庄司卓著の富士見ファンタジア文庫(無事見出版)で発表されていたSF小説です。
女子高生山本洋子が一千年後の未来というパラレルワールドにて宇宙戦争を繰り広げるというストーリーが人気を博し、コミカライズ・テレビアニメ化・OVA化などマルチメディア化され商業面でみてもメディアミックスの成功例の1つです。1993年から刊行されていましたが、最終巻12巻を発表せずして連載を中断し、2010年に朝日ノベルズ(朝日新聞出版)にて最終巻を含む完全版が刊行されました。
完全版の刊行は多くのファンが待望していたことですが、やはり1993年の小説です。本作の処々に散りばめられたサブカルの描写が古く、若い人を取り込むには少し難しいかもしれません。逆に、1993年頃に中高校生だったファンは大いに楽しめます。ですが、本質はスペースオペラとして人気を博した作品ですので、新規の若いファンが本作を手にとっても後悔することはないでしょう。
美少女たちが広大で重厚な宇宙を駆け巡る描写は、最近のライトノベルにはないものがあります。また、ライトノベルの顔と言われるヒロインのイラストも、当時のイラストレーター赤石沢貴士氏ですが、当時の美麗さを失わず現代の感覚でも堪能できるセンスは圧巻で、昔からのファンもこれからのファンも充分に没入できる作品になっています。