作者のこだわりがうかがえる大正ロマン
週刊少女フレンドで1977年から1979年に連載された「はいからさんが通る」は主人公玉緒が、大正デモクラシー~シベリア出兵~関東大震災と激動の大正時代を生き抜いていく物語です。主人公がモテモテという設定は、少女マンガの王道とも言えるでしょう。
こマンガの見どころは、人物ひとりひとりがとても魅力的なところです。主役だけでなく、お手伝いさんといった脇役のキャラクターも丁寧に描かれています。ストーリーも、時代の価値観の転換、変貌もきちんと描かれています。また、和歌や歌舞伎などの伝統芸能、外国からの文化であるオペラなも盛り込んであり、内容の深い印象を受けます。
女の子らしい異性への憧れや期待、恋としての心の変化も含みつつ、感動を味わえる素晴らしいものです。玉緒のファッションも素敵に描かれています。着物や袴、洋装やドレスなどと、それにともなったヘアスタイルも、時代の変化に伴ってバリエーションが豊かです。
またstrong>作者の教養や知識の高さを感じさせる作品でもあります。一人の女性が、男性優位の社会や制度に対する複雑な思いを抱えながらも、いきいきと人生を歩んでいく様は、現在の日本社会と共通する部分を感じます。主人公の玉緒は、単に気が強いだけではなく芯が強く自分の信念を貫く強さを持っています。また、周りの人に対する思いやりを見せつつ、イヤミのないそしてユニークな女性像となっています。現代の女性が読んでも共感できる部分がたくさん見つかる物語です。