ドット絵が織りなす荒唐無稽でシュールな世界観の電波系ギャグストーリー
中野駅の南口に突如として現れた謎の物体。それは普通ならばテレビ画面や、パソコンの画面でしか表示されないドット絵風のアイコンだった。出現した直後は世間を賑わせたものの、今となっては待ち合わせスポットの一つとなり、誰も気にもとめなくなっていた。
この現状に対し、とある高校で秘密結社部なる謎の部活を取り仕切る部長の小桜凛子は、「あのアイコンは異世界への入り口に違いない」と信じていた。なんとか異世界を調査したいが、危ない目にはあいたくないと考えた凛子は、怪しげな薬を使って部員の源英人に「IQ300の天才で、政府から異世界の調査を頼まれたエージェントである」という催眠をかけ、自分の代わりに調査をさせようと画策する。薬が原因で錯乱した英人であったが、何故か奇跡の力が発現し、アイコンの内部に進入できる能力を身につける。
それはきっと、現実世界とゲームやアニメの2次元の世界を繋げる夢の入り口だと思っていたが、たどり着いたのはまるで昔のゲームのようなドット絵で描かれた平面の8bitの世界だったのである…。
WEB漫画として連載されている同作を単行本化。普通の高校生が、ドット絵の世界での日常を体験する荒唐無稽でシュールな世界観の電波系ギャグストーリー。
みんなの感想
◆説明不要の電波展開
突如として現実世界にあらわれたシュールなドット絵のアイコンや、主人公が薬でおかしくなって謎の力を身につけるなど、謎ばかりの展開で理屈や辻褄合わせといったものはお構いなし。勢いそのままに、8bitのドット絵世界に入っても、何故か普通の人間の姿で描かれる英人とドット絵の住人達の日常というギャグ漫画だが、読み進めると結構深い裏設定もあるんじゃないか、というところが見え隠れしていて、シリアスな展開になる余地も持っている。今後が楽しみな作品である。
◆その発想はうまい
ライトノベルやアニメ、ゲームで取り扱う、いわゆる異世界モノの雰囲気を作りながらも、レトロゲームの8bitの村という、世界観を作った事に驚かされました。どういった文化なのか、どんな冒険が待っているのかという王道の展開以前に、ビジュアルでの突っ込みどころが満載で、そこだけでギャグストーリーとして話が成立するので、非常にうまい設定でしてやられたという感じでしたね。昔のRPGあるある要素あり、ちょっとしたラブストーリーありで、ハチャメチャですが意外にハマる作品でした。