「オレたちバブル入行組」は第145回直木賞を「下町ロケット」で受賞した作家、池井戸潤の銀行を舞台にした小説です。「やられたらやり返す。倍返しだ」のセリフで一世を風靡した大ヒットドラマ「半沢直樹」の原作として広く知られています。難しい銀行用語が数多く出てきますが、池井戸潤らしくスピード感のある読みやすい小説です。
「オレたちバブル入行組み」は5億円の損失を出した責任をすべて押しつけられそうになった銀行員の半沢直樹が、不正を暴き、自分を罠にかけようとした人物たちを追い込んでいくというストーリー。企業に入ると多かれ少なかれ経験する、やるせない思いを抱えた現代人にとって、後半で主人公が罠にかけようとした首謀者を追い詰めていくストーリーはとても痛快に感じられるでしょう。このあとも「オレたち花のバブル組」「ロスジェネの逆襲」と半沢直樹シリーズは続きます。
勧善懲悪の現代版と言える「オレたちバブル入行組」はベタですが読後感のいいサラリーマン小説です。ドラマ「半沢直樹」を見てから原作を読む人も、原作を読んでからテレビドラマを見た人も、どちらも違和感なく原作を楽しむことができる作品だと言えます。現実はこんなふうにはいきませんが、読み終わったあとにすっきりとします。