圧倒的な大河ロマン
グイン・サーガは、栗本薫による作品で、まさにサーガの名に恥じぬ大河小説です。国の勃興、国と国の争い、人々の営みなど見どころが満載です。平成21年に日本SF大賞特別賞を受賞し翌年の平成22年には星雲賞の日本長編部門を受賞しました。グイン・サーガ本編である正伝130巻、外伝21巻(1作だけ上下巻があるため22冊)が発表される壮大なファンタジー小説です。残念ながら筆者の栗本薫が亡くなられたため未完となってしまいましたが、故人の遺志「グイン・サーガを引き継いでほしい」との想いから作者が変わりましたが、グイン・サーガの歴史は今日も継続しています。
まずこの小説は歴史小説であると頭に入れて読んでいくと、また違った面白さを味わえる作品です。文化と魔術の国であり、青い血を守りつづける王国神聖パロ、ユラニア、モンゴール、クムからなるゴーラ、武の国であるケイロニア、この3つの国に起こる様々な歴史が描かれてあります。登場人物の数もかなりの人数にのぼります。
主人公はグインと呼ばれる豹頭の男であり、記憶をなくしています。その彼が自分探しをつづけていくうちに、様々な人々との出会いをくり返していくのが話の本流ですが、グインから離れた場所の話も多くあるため世界観の広がりはすさまじいものがあります。
また、パロ、ゴーラ、ケイロニアの3つの国以外にも、たくさんの国があり、それぞれの風習や食物、衣装なども異なっていて、それを楽しむことが出来ます。もちろん、登場人物の恋愛、友情などもたくさん盛り込まれ、色々なドラマチックな出来事が起こっていきます。息もつかせぬ展開は圧倒的で、読む人をその世界に引き込んでしまう大作です。