王道青春物語 2012年電撃小説大賞選考委員奨励賞受賞作品
「サマー・ランサー」の主人公大野天智は、かつて神童と呼ばれた天才剣士でありながら、年齢が上がるにつれて結果を出せなくなり、また師である祖父を亡くしたことで竹刀を握れなくなってしまいます。高校に入学し、体育館から聞こえる不思議な音に心惹かれ思わず近付いた彼は「槍道」という競技と羽山里佳という同級生に出会います。
明るくマイペースな里佳に半ば強引に引き込まれる形で槍道部に入部した天智は、戸惑いながらも槍道という競技やそれらに打ち込む人々に触れ、少しずつ夢中になり情熱を取り戻していきます。
子供の頃から大切にしてきたもの、打ち込んできたものを失い空っぽになってしまった少年が新たな出会いをきっかけに新たな道に踏み出し、再び前に進む物語です。
夏を感じさせる爽やかで真っ直ぐな青春物語は、今現在青春真っ盛りな学生も、かつてはそんな学生だった人も楽しめる夏休みの読書感想文にオススメしたくなるような王道作品となっています。
物語のテーマである「槍道」は実在しない架空の競技ですが、文中のリアルで迫力ある描写には実在する競技であると錯覚させられます。
読後感もとても爽やかで、清々しい気分になれる作品です。