壮大なアイヌの物語
手塚治虫は非常に多くの作品を書いてきたことから、鉄腕アトムなどの有名なもの以外にも隠れた名作があります。そういった作品として知られているものの1つに『シュマリ』があります。
同作品は、手塚治虫が虫プロダクションの社長を退任し、漫画家として再起をかけようという時期に描かれたものです。この作品は、『ビッグコミック』にて)1974年から1976年まで連載された壮大な歴史物となっています。タイトルの名前は主人公のことで、明治時代のアイヌの人々と、開拓使といった内容を見事に書ききった作品です。巻数自体は4巻程度ではありますが、非常に読み応えのある作品となっています。
単なる歴史物ではなく、そこには一人の男の生きざまであったり、愛情であったりが描かれていますので、当時の歴史的背景を知っている人だけでなく、それほど知らない人も楽しめる作品であるといえるでしょう。
特に面白いのは、その登場人物の濃さではないでしょうか。主人公の男らしさは勿論、出てくる人物のどれもが印象深いキャラクターとなっています。
手塚治虫は、SF物が得意な漫画家ですが、一方で歴史物を描かせても超一流と言われています。独自の視点を上手く取り入れた作品となっていますので、是非とも読んでみることをお薦めします。