故国解放の為戦うSF小説
『スターシップ・オペレーターズ』はロードス島戦記などで有名な水野良によるSF小説です。宇宙戦艦アマテラスのクルーによる、敵の国家に占領された祖国を解放する戦いを描いています。2005年にはテレビアニメ化もされた人気作品です。
西暦2300年。人類は宇宙に進出してたくさんの惑星国家が成立しました。その一つであるキビに所属する宇宙戦艦アマテラスが試験航海を行いその終了間際、強大な軍事力を誇るヘンリエッタ星域惑星国家同盟が突如宣戦布告します。奇襲を受けて降伏を余儀なくされ、アマテラスは王国に明け渡されることになりました。しかし訓練生らは反発し、策を練ります。それが、銀河ネットワークをスポンサーに艦の運営費用を調達して、その代償に同盟との戦いを中継させる、というものでした。こうしてキビに平和を取り戻すため、訓練生たちの戦いが始まります。
この作品は、宇宙戦艦が単独で国家という強大な権力と闘うという壮大なテーマを持ちます。『宇宙戦艦ヤマト』に近いモチーフに、現代的意味を加えてアップデートしたものといえるかもしれません。戦艦同士の戦闘というアクションの要素や、アマテラスのスポンサーとなったテレビ局の以降で女性クルーにアイドル的な要素が盛り込まれていますが、物語の基底となるSF的な設定や政治設定の作り込みは周到に作り込まれていて、先の見えない戦いに身を投じるアマテラスのクルーの心情がきちんと描かれています。