トキワ壮の兄貴分が描く正統派児童漫画の名作
『スポーツマン金太郎』は、週刊少年サンデーの創刊号(1959年)に連載されていた作品で、のちに小学館の学習雑誌などに掲載された児童向け漫画作品で第1回講談社児童まんが賞も受賞しました。
本作の作者はテラさんこと寺田ヒロオは、藤子不二雄A、藤子・F・不二雄や赤塚不二夫ら若い漫画家たちと交流を深め、漫画界の発展に貢献してきたトキワ荘のリーダー的存在です。平成4年に永眠しましたが、晩年は不遇の時を過ごした実力ある作者でもあります。寺田ヒロオはまんが道などにも登場し有名漫画家ではあるのですが、その作品がコミックスなどでなかなか読むことができす、結果幻の作品作家との声も多く、今回の電子書籍化に関してはファンにとってまた1950年代以前のクラシカルな漫画のファンにとっては嬉しい1冊ではないでしょうか。
この作品は、少年漫画としてのすばらしさはもちろんですが、昭和30年代前半のプロ野球シーンがかなり鮮明に描かれている漫画なので、野球の資料としてもとても貴重なものとされています。
ストーリーは、日本のどこかにあるおとぎ村に住む金太郎と桃太郎という野球大好き少年が、それぞれ山猿チームと川流れチームを率いて試合をしていき、その後、金太郎はジャイアンツ、桃太郎はライオンズへ入団。互いにプロ野球の舞台で実力を証明することを誓い合うという内容で、次々と時空を超えた名勝負が漫画の中で繰り広げられ、長嶋、金田といった実在選手たちと夢の対決も見られます。広島や国鉄といったチームにもスポットが当てられていて、幼い頃野球少年だった方も、これを読むと、その動きのあるひとコマひとコマが印象的で、本当の野球のプレーをしている感覚になってくるような漫画です。