ダーティペアの大冒険はクラッシャージョーの作書でもある高千穂遙 、そしてイラストにはガンダムのキャラクターデザインを担当し一世を風靡した安彦良和さんというかなりものすごいコンビで、本書は小説だけでなく所々に挟まれる挿絵も楽しめる一冊です。
このダーティペアの大冒険は後にテレビアニメ化され、映画にもなったダーティペアシリーズの記念すべき第一作目の小説です。主人公は、スタイル抜群のセクシーな19歳の女性、ユリとケイの二人。二人はWWWA(世界福祉事業協会)という犯罪トラブル・コンサルタントとしてペアを組んでいて、宇宙のあらゆる場所で犯罪やトラブルに対処します。
物語は、ケイのかなり乱暴で口の悪い、しかし軽妙な一人称で語られていて、この語り口が癖になります。惑星から惑星を股にかけて活躍する二人の物語は、スケールが大きく、また躍動感にあふれています。読み始めたらあっというまに物語世界に引き込まれ、一気に読み終えてしまうスピード感があります。
ただ、二人が「ダーティペア」と呼ばれている理由を、面白いと思うか、受け入れがたいと思うか意見が分かれるかもしれません。二人は必ずトラブルを解決する、非常に優れたトラブル・コンサルタントですが、トラブル解決にあたって必ずおびただしい数の民間人の犠牲者を出してしまいます。二人が「ダーティペア」と呼ばれる所以です。
死者の数を笑うかのような演出を、正義感の強い人は受け入れがたいかもしれません。この作品を面白いと思うか、もしくはちょっと問題があると思うかの分かれ道は、この死者のくだりを受け入れられるか、受け入れられないかにかかっているといえるでしょう。しかし、「ダーティペアの大冒険」は痛快なSFの傑作であることは間違いありません。
この「ダーティペアの大冒険」では惑星ダングルのグラバース重工業の爆発炎上事件の再調査の依頼に送り込まれたものの、犯罪組織の陰謀を知ることとなり、絶体絶命のピンチを迎えてしまいます。舞台が宇宙、か細い腕で宇宙船・ラブリーエンジェル号を操縦して飛び回るスケールの大きさもさる事ながら、ピンチを大胆に切り抜ける憎めない二人の魅力に引き込まれる作品です。