極道の世界からトップセールスマンにのぼり詰めた波乱万丈の半生記
物語の始まりは、高校一年の夏休み。初めて暴走族の一員となった神戸のとある駐車場で、白いケンメリに逃げ込んだアベックの男を数十人で囲んでバットや木刀で滅多打ちにし、車体もスクラップになるまで破壊するという惨劇を取り巻きの一人として眺めていた。そのまま、600台の暴走車、1000人規模の大暴走に身を委ねた。
現在、とある会社のトップ営業マンとして活躍している氷嶋虎生氏は、かつて関西で一目置かれていた極道の一人だった。精神薄弱でギャンブル狂いの極道者の父に振り回されながら、15歳で母の死に直面するという高校生には厳しい現実。やり場のない悲しみや怒りから、周りと距離を置き、そのうちに暴走族の一人として裏の社会に踏み出すこととなった。
しかし、その反社会的な行動とは裏腹に友人や先生方からの印象も決して悪くなかった氏は、その真っ直ぐな人柄のためか、極道の世界でも上からは可愛がられ、下からは尊敬され、一目置かれる存在となるのである…。
営業マンとして常にトップを走り続けるスーパーサラリーマンが、かつては裏社会に生きていた実録と、その中で培われた働く上で必要な人間学を記した営業必勝本。
みんなの感想
◆まるでVシネマのよう
編集の方もあとがきで触れているのですが、その人生は青年誌の極道漫画や、Vシネマの脚本なのかとも思える内容です。高校生から大学生を経て、一般企業に勤めようと決心するまでの数年の話なのですが、暴走族の中で一目置かれるようになり、さらに極道者との繋がりができてから、大学生に通いながら極道の世界を渡るという二足わらじという波乱万丈な人生で、氷嶋さんという著者の方にすごい興味が湧いてくる作品でした。
◆命がけで学んだ技術
仕事での失敗は誰にでもある。もちろんない方がいいが、人間である以上はミスは起きてしまうものだ。しかし、一般に暮らしている人間よりも、著者のように一つのミスが場合によっては、自分や仲間の命にまで関わるような世界で生きていれば、その渡世術もより丁寧に研ぎ澄まされていく。そういった命がけで勝ちとったものであるが故に、一般社会においても、一流の企業で応用できるだけの力があり、また自信を持って自分の営業術を紹介できるのではないだろうか。