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ヒナまつり

ヒナまつり【電子コミック】

ヒナまつり【電子コミック】

著者 ページ数 クチコミ評判
大武 政夫 206ページ ★★★★★

謎の少女とインテリヤクザのSFコメディ

 稲荷会系暴力団芦川組のヤクザ、新田義史。暴力はあまり得意ではなく、どちらかといえば頭を使うインテリヤクザタイプで、組長にも気に入られている若手のホープだ。
ある晩、自宅で一人晩酌をしていると、何もない頭上から突如謎の球体が現れ、頭を強打する。飲みすぎたて酔っているせいだと思った新田であったが、球体は間違いなく存在しており、球体に浮かぶ顔から、球体の後ろにあるスイッチを押すよう頼まれる。スイッチを押すと、球体が変形し、中から小さな女の子が現れた。
ヒナと名乗った女の子は、行く宛がないのでここに置いて欲しいと頼んでくるのだが、面倒なことに関わりたくないと追い出そうとする新田。しかし、ヒナは念動力が使えるらしく、追い出すなら家を滅茶苦茶にすると脅してくる。
しかたなく、ヒナとの同居を始めることにした新田であったが…。
自分の知らない世界で社会に触れることで成長していくヒナと、ヤクザという反社会的世界観を描きつつも、ヒナが日常生活の中で起こす、様々な事件に巻き込まれ、どこか憎めない新田や組員たちを描く荒唐無稽ギャグストーリー。

みんなの感想

◆ヤクザ?SF?コメディ?

 冒頭のシーンを見るだけではヤクザ漫画と思うような描きだしなのに、一転、何の説明もなく、謎の球体から少女が出現し、少女の使う念動力に翻弄されるSFのような設定。そして、謎の少女ヒナと新田をはじめ、組員やその関係者の周りで、はたまたヒナが通い始めた学校で巻き起こるドタバタギャグの要素もある。さらに日常生活を通して社会を学んでいくヒナの成長と、嫌々ながらヒナを受け入れた新田が、徐々に親子のような感情を育んでいく様子が描かれている。様々な要素がありながらも、違和感なく見事にまとまっている作品。

◆ストーリーとキャラクターが秀逸

 導入部からの荒唐無稽具合が凄いです。ヤクザの頭上に突如謎の物体が落ちてきて、その中から超能力を使う少女が出てきて、一緒に暮らし始める、と自分で改めて整理してみても思わず「えっ?」となるトンデモ設定で始まるのに、新田とヒナの日常生活というほのぼのストーリーと、ヒナの存在を取り巻くSF要素と謎が徐々に明かされていく展開が面白いです。どこか冷めた印象だけど、自分なりに社会を学ぼうとする一所懸命なヒナのかわいらしさと、言動や見た目は強面だけど、ヒナの世話に悪戦苦闘する新田の温かさも読んでいてほっこりします。



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