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ビリ犬

藤子不二雄(A)のビリ犬(電子コミック)のレビュー

ビリ犬 【電子コミック】

著者 ページ数 クチコミ評判
藤子不二雄(A) 224ページ ★★★

個性豊かな登場人物が織りなす何でも屋

『ビリ犬』は、藤子不二雄(A)によるギャグ漫画です。1969年に『たのしい幼稚園』や『ぼくら』で連載されたのが初出です。連載から随分期間の空いた1988年にテレビ朝日系列でテレビアニメ化されたのを機に『月刊コロコロコミック』にも新作が連載されました。

「ビリ犬」は、よくあるほのぼの癒し系漫画かと思いきや、時々妙に的を射た発言にどきっとする、そんな多面性のある作品です。幼少期を懐かしんでまた読んでみたいという方は、当時とは違う感覚で2度楽しめるのでおすすめです。初めて手に取る方も古臭さを感じることなく楽しめる作品です。

お子さんやお孫さんと一緒に読めば、同じ作品なのに全く違う感想が出てきて面白いかもしれません。また、キャラクターの愛らしさが群を抜いています。全体的に間の抜けたテンポで、のんびりゆったり進むせいか、キャラクターの個々の魅力が存分に発揮されています。ビリ犬をはじめとする、眼を大きく縁取りした大胆なキャラクターデザインも、警戒心を抱かせないゆったりとした世界観を作り出すのに一役買っていて、いい味を出しています。

洋服も凝っていて、ぼんやりとしたキャラクターがきりっとしたネクタイをしていたり、ちぐはぐ感が微笑みをさそいます。全体的におちゃめな憎めないキャラクターばかりなのも特徴です。なにがあっても受け入れてしまいそうな雰囲気で、適応力ははかりしれません。

ちょっとした脇役ですら魅力にあふれていて、作者の愛を感じます。作品上、空の描写も多いのですが、夢を感じさせる独特の見せ方をしていて、視野が急に広がるような非日常感が得られます。ちょっとした明日への活力をくれるそんな本です。



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