ダークファンタジーの代表作
ダークファンタジーの金字塔ともいえるベルセルクは、単なるアクション漫画の枠に留まらず、運命、神の存在、正義と悪など哲学的な内容を含みます。
ベルセルクは、作者三浦建太郎によりヤングアニマルにて1989年から(2014年10月現在連載中)連載されている漫画作品です。本作の功績により一般にあまりなじみのなかったヤングアニマルは、一定の知名度有する雑誌にまで成長しました。物語の本筋は、親友グリフィスから絶望的な裏切りを受けた主人公ガッツの復讐劇ですが、話が進むにつれて何もかも失ったはずの主人公にも、新たに仲間や復讐以外の目的ができます。
本作の盛り上がる章はいくつかありますが、やはり人気が高く個人的にも面白いと思うのは鷹の団編ではないでしょうか。主人公ガッツの運命を決定づけた編でもありますが、青春群像劇といったポジティブな面が強く唯一といっていいほど明るい雰囲気でストーリが進む章となっています。しかしながら、この章の結末はもっとも悲劇的で見ていて辛いものがあります。
また主人公のガッツだけでなくもう一人の主人公といえるグリフィスも魅力的です。多くの犠牲と引き換えに準神と言える力(ゴッドハンド)を手に入れて、地上で好き放題に力をふるい自分の国を作りますが、その真意がどこにあるかわからないまま話は進んでいきます。もはや一国の王となったグリフィスと一戦士のガッツその差は埋めようがないほど開いています。
今後の見どころは、目的が大きく揺れ始めている主人公がどのような選択をするのか、広げに広げた風呂敷を作者がどのようにたたむのかなどあります。壮大なダークファンタジーを堪能できることは間違いありません。