架空のスーパーカーを題材とした傑作レース漫画
牛乳配達員の鬼頭隼と相棒のジャッキーは、自分たちの商品を勝手に持ち去り飲んでいた暴走族を追っていた。配達用のサニーのトラックに対し、暴走族の面々が乗るのはフェアレディZを筆頭にしたスポーツカーの数々。追いつけまいと、隼たちを煽る暴走族の男たち。ところが、サニーを運転する隼は神がかり的なテクニックで車を追い抜いていく。
全ての車を抜き去り、暴走族たちから牛乳代を含め、様々な理由で現金をせしめた隼とジャッキーの前に、ロータス・スーパー7に乗った謎の少女が現れる。
スーパー7に乗せてほしいと少女に頼み込み、運転をさせてもらえる事になった隼だったが、車内で少女とちょっとした口論になった。
最後はどちらが早いか、勝負をしようという話になり、ジャッキーが調達したホンダのシティ・ターボでレースを挑んだ隼だったが…。
大ヒット漫画、「サーキットの狼」でスーパーカーブームの仕掛け人となった池沢さとしが、それまでのリアル志向とは一線を画し、架空のスーパーカーを題材とした傑作レース漫画。
みんなの感想
◆スピード感は変わらずも路線変更
代表作、「サーキットの狼」と同様、最初からテンションMAXで有無を言わさないストーリー展開。ただ、代表作「サーキットの狼」では主人公風吹が、暴走族の中で一匹狼として名を馳せていたが、こちらでは主人公が暴走族たちをやりこめる凄まじい才能を秘めた普通の少年である。この対比は新しい分野に挑もうとする作者の決意なのだろうか。そういう意味では、リアルなスーパーカー路線を外れて、架空のスーパーカーを描くようになったというのも腑に落ちる。
◆時代と共に描写が変化
特に変わったなと思うのは、作品全体の雰囲気です。代表作の「サーキットの狼」は暗いという訳ではないけど、もうちょっと重量感というか、熱さの中にも硬質的なイメージだったのですが、こちらはもうちょっと明るくて、コメディタッチな描写もあったり、ちょっと軽い感じの表現も多くなっています。何より、女性キャラが美しく、可愛く描かれているのが特徴的です。タイトルを抜いて表紙の絵を見ると、少女漫画と勘違いしてしまうほどです。