アドラーのベストセラー作家が語る
考えの違う複数の人間が一緒に行動する時、そこには必ずと言っていいほど対立や葛藤がうまれる。人間関係やコミュニケーションについての書籍が数多く出されるのもそれだけ人々が他人との関係に悩んでいるからだろう。特に会社という場所は、色んな思惑が錯綜するから、そのぶん人間関係も複雑になってくる。そんな時、チームのモチベーションを高め、組織を牽引していく魅力的な「リーダー」がいれば、それだけで場の空気は変わってくるだろう。では、リーダーになるためには(リーダーを育てるには)どうすればいいのか?
小倉広氏の最新刊『リクルートで学んだリーダーになるための77の仕事術』では、大学を出たばかりの著者がリクルートに入社し、経営者になるまでに遭遇した出来事を描きながら、その中で得た仕事の知恵を実感をこめて紹介している。2014年秋に上場を果たしたリクルートであるが、本書ではリクルート独自の考え方や風土がいち社員の視点から描かれ、それだけでも一見の価値がある。なぜリクルートが強いのか、その理由はリクルートで働く「人」を見ることで明らかになるのかもしれない。
全編を通してまず思い浮かんだのは「主体性」と言う言葉だ。小倉氏が経験してきた仕事は、ハードワークと言っていいほど厳しい内容のものも含まれるが、なぜだか興味引かれるものがある。それは、氏の仕事に対する姿勢が、つらさよりも仕事のやりがいを感じさせ、ほほえましく思わせるからだろう。仕事の楽しさや責任について滋味深い示唆を与えてくれる書籍なので、折に触れ読み返してみたいと思う。