ストーリ少女マンガの先駆的作品
リボンの騎士は手塚治虫の代表作の1つでTVアニメ化もされた有名作品。1953年に「少女クラブ」後に「なかよし」などでも連載された少女マンガです。
物語の構図は単純で、勧善懲悪「悪役の悪だくみによってお城を追われた王位継承者サファイアが、数々の困難を乗り越えてまた祖国に返り咲き、幸せになる」お話です。絵柄もこの時期の手塚治虫作品のとおり、丸っこくてかわいらしく、このおとぎ話的な世界観に見事にマッチしています。
しかし、それだけでは終わらないのがこの物語の設定。なんと、主人公サファイアは男の心と女の心を二つ持ったトランスジェンダーなのです。心を入れ替えたりするだけで男になったり女になったりと、体の変化はどうなっているんだと思わざるを得ないのですが、恐らくもともと女の子として生まれる予定だったのを考えると、体は女性だったのでしょう。
彼であり彼女である「リボンの騎士」が、その二つの心を便利につかったりそのせいで変な悪魔に目をつけられて余計にひどい目にあったりと、この設定のおかげで見どころが倍増されています。
最近でこそ、その「心と体の性別の不一致」というものが注目され、理解されるようになってきましたが、この漫画が雑誌に掲載されていたのは50年以上も前ですから、先見の明というのか手塚治虫の想像力のすごさというものを感じます。とはいうものの、結局主人公はもともとの生まれ持った性別の方に決着します。その後サファイヤとフランツはめでたく結ばれ、双子の子供が活躍する続編「双子の騎士」につながります、