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太宰治のヴィヨンの妻

太宰治のヴィヨンの妻

ヴィヨンの妻(美しい表紙で読みたいシリーズ)

著者 ページ数 クチコミ評判
太宰治 25ページ ★★★★★

『走れメロス』や『人間失格』で有名な太宰治の作品、『ヴィヨンの妻』について紹介していきます。私はこの本を「美しい表紙で読みたい ヴィヨンの妻」を通して読みました。価格の安さに引かれ購入したのですが、とても読み応えのある作品でした。

この作品も、人間失格と同様に太宰治を思わせるキャラクターが登場します。元男爵の次男という放蕩詩人「大谷」と、その妻「さっちゃん」が中心となっています。主人公はさっちゃんの方で、女性目線で話が進んでいくのですが、ともかくこの「大谷」がなんとも言えないダメ男なのです。

この人物は人間失格の主人公とリンクしているように思えました。心中を試みない分多少マシではあるものの、やっぱりダメ人間であることは間違いなく、どうしてさっちゃんはこんな男に……と思うことしきりです。少しだけその心情が理解できるような気もするのですが……。

ヴィヨンの妻は、この「ちょっとした共感」ができるかどうかで読み方がかなり変わってくると思います。全く共感出来ないという人にとっては、ダメ男との共依存物語にしか映らないことでしょう。共感ができるというのであれば、見え方が大きく変わってくるかと思います。一度読んでみると、面白いでしょう。



4件のコメント

ヴィヨンの妻
主人公ですが元華族で学歴は素晴らしく、奥さんも子供もいるのにダメ人間というところが、ギャップがあって面白いです。楽しみながら読めました。
太宰作品は前から
太宰作品は前から気になっていました。しかし、なかなか手を出す機会がなかったところを、安くてきれいな表紙のこの本を見かけ、購入することに決めました。
表紙はどうでもいいけど
太宰治はひねくれて落ちぶれたおぼっちゃん像を描かせたらピカイチですね。まるで仕事もせず、家庭も顧みず、とうとう泥棒まで働いてしまった大谷が、作品の中で光っていました。
ラルク
人間失格で太宰治を知りました。長編のイメージが強かったんですが、こういった短編も面白いですね。さっちゃんの語り口が理知的でやさしく、大谷がいくらダメダメで貧乏な暮らしだったとしても、悲観的にならずに読めます。

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