『走れメロス』や『人間失格』で有名な太宰治の作品、『ヴィヨンの妻』について紹介していきます。私はこの本を「美しい表紙で読みたい ヴィヨンの妻」を通して読みました。価格の安さに引かれ購入したのですが、とても読み応えのある作品でした。
この作品も、人間失格と同様に太宰治を思わせるキャラクターが登場します。元男爵の次男という放蕩詩人「大谷」と、その妻「さっちゃん」が中心となっています。主人公はさっちゃんの方で、女性目線で話が進んでいくのですが、ともかくこの「大谷」がなんとも言えないダメ男なのです。
この人物は人間失格の主人公とリンクしているように思えました。心中を試みない分多少マシではあるものの、やっぱりダメ人間であることは間違いなく、どうしてさっちゃんはこんな男に……と思うことしきりです。少しだけその心情が理解できるような気もするのですが……。
ヴィヨンの妻は、この「ちょっとした共感」ができるかどうかで読み方がかなり変わってくると思います。全く共感出来ないという人にとっては、ダメ男との共依存物語にしか映らないことでしょう。共感ができるというのであれば、見え方が大きく変わってくるかと思います。一度読んでみると、面白いでしょう。
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