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三国志吉川

吉川英治の歴史小説三国志

三国志(吉川英治)

著者 ページ数 クチコミ評判
吉川英治 3033ページ ★★★★★

後の作品にも多大な影響を与えた吉川三国志

中国の後漢王朝の末期、全国をゆるがした黄巾の乱。それに対して立ち上がった劉備、関羽、張飛の三人は「生まれた時は違っても死ぬ時は一緒だ」と桃園で誓い合った義兄弟です。史書の「三国志」を現代によみがえらせた吉川英治の「三国志」は、日本での「三国志」のスタンダードといえるでしょう。
最近では、著作権が切れたためか新潮文庫でも刊行され、新しい読者を増やしています。多くの作家が自分なりの三国志を書いていますが、やはり吉川版につきるようです。いかに吉川版を越えていくか、史実と演義の違いをどのように描いていくか、いろいろな作家がいどんでいるのは、三国志が魅力ある作品だからでしょう。

天才的な軍師とされる諸葛孔明の登場から、物語は曹操の魏、孫権の呉そして劉備の蜀の三国が鼎立して相争い、多くの武将たちが戦い、死んでゆきます。魏が天下を統一するまでを書いた原典に忠実な小説もありますが、孔明が死んだあとは魅力的な武将もあまりおらず、吉川三国志のように五丈原で司馬仲達と最後の決戦を挑み、病没する孔明の姿を最後としたもののほうが、感慨が深いとおもいます。ゲームやマンガなどで三国志に興味を持った人は、本書をひもとくことで、より深く理解できるようになるでしょう。

日本の三国志といえば、すなわち吉川三国志を上げる人がほとんどでしょう。また国民的ロングセラーのマンが横山光輝の三国志などはこの吉川三国志に多くの影響を受けているのがわかります。もし三国志を読んだことが無い、またはマンガしか知らないという方はこの吉川三国志を是非一度手に取ってほしいです。



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