下町の町工場が次に挑むのは新型人工弁
『下町ロケット2 ガウディ計画』は、第145回(平成23年度上半期)直木賞を受賞した『下町ロケット』の続編です。テレビドラマ版『下町ロケット』(TBS系列)のスタートにあわせ、2015年10月3日から朝日新聞で連載され、11月5日に単行本化されました。
本作は、帝国重工と共同でロケットエンジンのバルブシステムを開発し、倒産の危機を乗り越えてから3年後の佃製作所が舞台となっています。
帝国重工との企業懇親会に参加した社長の佃航平は、NASA出身の社長・椎名率いるサヤマ製作所が、佃製作所に対抗してバルブ開発に乗り出していることを知ります。
思わぬライバルの出現に社員たちが動揺する中、航平のもとへ元社員の真野がやって来ます。医療研究所で人工心臓の研究を行っている真野は、新型人工弁「ガウディ」の共同開発を持ち掛けてきますが、コストが大きく訴訟を受ける可能性もある医療品の開発は、中小企業の佃製作所にとってあまりにハイリスク……。しかし、共同開発者・桜田の人工弁開発に懸ける思いを知った航平は、ガウディの開発に乗り出すことを決意します。
話題を呼んだ前作から5年。医療界の問題に切り込み、“ものづくり”の本質に迫る、池井戸潤渾身のエンターテインメント長編です!
下町ロケット2 ガウディ計画 みんなの感想
◆仕事に夢がなくなってしまったら、ただの金儲け
一作目に続き、登場人物たちの魅力に引き込まれました。
「仕事に夢がなくなってしまったら、ただの金儲け」
主人公・佃の言葉ですが、この本に出てくる人々がそれを体現してくれていると思います。
社員ひとりひとりが与えられた役割を全うして頑張る姿に、胸が熱くなりました。
◆「倍返し」の気持ちよさ
池井戸さんらしい、気持ちのいい勧善懲悪物語でした。
個人的には『半沢直樹』以上に「倍返し」のカタルシスを感じました。
また続編があることを楽しみにしています!