はあちゅうさん 書評
読書には、刺激系読書と癒し系読書の2種類があると思っています。
前者は、作者の経験や提案や視点に衝撃を受け、人生や考え方が変わるきっかけになる読書。知らない世界に触れたり、新しいことを知ったりして、イメージでいうと、作者がつくった海にどぶんと飛び込み、身を任す感じ。後者は、本を読みながら作者の考えがしみわたってくる読書。気持ちがほっと落ち着いたり、自分の考えを改めて確認できたり、カウンセリングのような効果を持ち、作者が海だとすると、その水がじわじわと自分に浸透していくイメージです。
そして松浦弥太郎さんの本は、誰にとっても後者な気がしています。
松浦さんの文章は、優しい。
たまに混じっている鋭いコメントも、あたたかな言葉にくるまれているから、傷つかない。だから、現実世界で十分傷ついている時にも安心して読めるんです。疲れた時、ほっと一息つきたい時、松浦さんの文章を読み、考え方に触れると心がふんわり軽くなります。いい文章は人を救えるんだと心から信じられるような文章。世界観。
だから、私は、サプリメントを持ち歩くみたいに、松浦さんの本を何冊も電子版で持ち歩いているのですが、その中でも特に「今日もていねいに。」は、よく読んでいます。風邪のひき始めに、ビタミンCを摂って予防するみたいに、忙しさに流されている時にこの本を読むと、心の風邪の予防になります。
心に丁寧さを取り戻したい時に、オススメです。