ヒーローになりたいという熱い思いと努力は、自らの運命を切り開く
発端は、中国の軽慶市で発光する子供が生まれたというニュースからだった。それ以降、各地で様々な特殊能力を持つ人間たちが生まれ、原因不明のまま、その数だけは増えていくことになった。いつしか、世界の総人口の約八割がなんらかの特異な体質や能力を持っているという超人社会になってしまった。
超人の人口増加と共に、超能力者による犯罪が多発する。その対策が後手に回っている政府を尻目に、一部の善良な超能力者たちは、正義のヒーローとして問題解決に動き出す。世論の後押しも手伝い、一気に市民権を獲得したヒーローは、公的な職務として認められ、名声と利益を手にする夢の職業になった。
そんなヒーローに憧れる少年、緑谷出久は超人社会では珍しく、何の特殊能力も持っていない普通の少年。何の能力も持たない人間は、劣等生としてのレッテルでしかなく、学校では常に底辺として見下され、幼馴染にはいつも苛められていた。
しかし、誰よりもヒーローが大好きな出久は憧れのヒーロー、オールマイトの出身校である雄英高校入学を目指していた…。
生まれながらに才能を否定されても、ヒーローになりたいという熱い思いと努力の末に、自らの運命を切り開く少年の成長物語。
みんなの感想
◆ヒーローになる素質、行動力と正義の心
生まれながらに能力を持っていないことは、この世界の中ではある意味、ハンデを背負って生まれた人間と言えるだろう。学校と言う社会で劣等感や、疎外感に苛まれ、自分の境遇へ常に云いようのない怒りを抱えている。それでも、人一倍ヒーローになりたいという強い心を持ち、困った人は見捨てられない正義感、それは何よりヒーローになるために必要な才能ではないだろうか。少年漫画らしいストレートな展開とメッセージ性が心を熱くさせてくれる漫画である。
◆特殊能力は努力
キャラクターのコスチュームや、アメコミを模した絵柄などが相まって、いかにもヒーローものと言う感じの作風になっています。主人公の出久がこの世界観でどうやってヒーローになる道があるのかと読み進めていたのですが、「なるほど、そんな能力があったのか!」と、発想の転換に思わず唸らされる設定でした。また、その能力もヒーローになるためには、どんな努力も厭わないという人一倍、ヒーローに対する憧れと情熱を持っている出久が、持つべくして持つ能力だなと思います。