ドタバタ劇もなんのその1950年代の冒険活劇
『冒険狂時代』は、手塚治虫の作品で1951年から1953年にかけて『少年少女 冒險王(冒険王)』にて連載された冒険活劇です。江戸時代の少年剣士で主人公の「嵐タコの助」は幕府の命を受け、密書を届けにアメリカはワシントンまで船で旅をしています。船には、様々な外国人が乗っています。ところが、密書を届ける以前に船は嵐に遭遇します。竜巻に巻き込まれ、タコの助らが吹き飛ばされた先は・・・。
「冒険狂時代」の見どころは、交通機関の発達していない時代、外国に行くには船で何ヶ月、何年と掛かっていた頃、少年剣士は日本の国を代表して、勇敢にも1人で海を渡って異国へ行くというところで、途中、珍事件の数々に巻き込まれたり、宝の地図を手に入れたり、はては外人部隊に参加したりと世界を股にかける冒険活劇です。
一方、気になる宝の在りかも気になるところです。古き良き時代のアメリカ映画のタイトル、俳優、女優や名画の中のセリフがところどころに盛り込まれ、紙の上で活劇と呼ばれた時代が再現されているようです。
ノスタルジックな面も、大げさな描写の笑いも、全体が純粋なタコの助の影響を受けてストーリーが進んで行きます。タコの助は、無事密書を届けられるのでしょうか、そして宝の地図に書かれた意味は、本当に宝の在りかを示し、その場所に辿り着くことができるのか、日本の少年剣士の冒険を応援せずにはいられません。