帝国データバンクによると、先月の2月5日に自主廃業を発表していた出版取次業者の大洋社(東京都・千代田区)が3月15日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁より破産手続き開始決定を受けたことを発表した。
負債は2015年12月期末時点で約76億2900万円。
同社は1946年3月創業。国内中堅の出版取次として、書籍や雑誌、教科書などの取次販売を手がけており、特にコミックの扱いには力を入れており「コミックの大洋社」として業界から高い評価を得ていた。2005年6月期には年間売上高で約487億円を計上していたが、出版市場の縮小にともなう競争激化やインターネットや電子媒体の普及で得意先の中小書店の取引先を複数失ったのが影響し、15年6月期の売上高は171億円まで落ち込んでいた。
先月5日に、自主廃業に向けた準備に入ったことを表明したが、その後の資産精査により書店からの売掛金回収が当初想定通りに進まない可能性が高まるなかで、主要販売先の(株)芳林堂書店(現・(株)S企画、東京都豊島区)が2月26日に破産手続き開始決定を受けたことで同社に約8億円の焦げ付きが確定した。その後、96.5%の書店(事業廃止を決めた書店は除く)で帳合変更のメドが立ったものの、一連の帳合変更に伴い約2億円の未回収が生じ、自主廃業を断念し、自己破産申請に至った。
出版取次業者の倒産では栗田出版販売(株)(負債133億8200万円)に次いで過去2番目の負債額。
出版業界では市場の縮小にともない倒産が相次いでいるが、各社とも生き残りをかけての舵取りに注目が集まる。
引用元:帝国データバンク