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喪黒福次郎の仕事

藤子不二雄(A)の喪黒福次郎の仕事(電子コミック)レビュー

喪黒福次郎の仕事 【電子書籍】

著者 ページ数 クチコミ評判
藤子不二雄(A) 199ページ ★★★

兄とは違う仕事の流儀

『喪黒福次郎の仕事』は藤子不二雄(A)の作品で、文藝春秋『カピタン』で1997年~1998年にかけて連載された作品で、どこかで聞いたことがある名前だぞ・・・と思われる方も多いと思いますが、そう『笑ゥせぇるすまん』の主人公『喪黒福造(もぐろふくぞう)』の弟なのです。

さぞかし人をそそのかし不幸にしてくのだろうとページをめくると、本作の主人公喪黒福次郎はきっぱりと兄とは違うと宣言します。兄は「人の心の奥に潜む欲望をかりたてその人を破滅に追い込む」魔性の行いをしているけれど、自身は兄とは違い人を助けることが仕事であり、「ふとしたことから人生の落とし穴へおちこんだ人に救いの手をさしのべ落とし穴からだしてあげる」と。

なるほど、そうは言っても兄の所業を考えると怖い人は笑顔でやってくるんでしょ・・・と思いながらページを進めていくと、まぁこれが本当に人助けしかしません。もちろん兄とは違った怪しさでその章の主役には忠告するのですが本当に人を助けるために善意で忠告しているのです。

1話を除き、まずまずハッピーエンドを迎える本作は読後感も良く、作者の藤子不二雄(A)をして「心と体にとてもいい仕事だった」と述べています。話の進み方は笑ゥせぇるすまんと似ていますが、結果として対極に位置する作品でしょう。惜しむらくは、喪黒福次郎の仕事は連載していたカピタンが廃刊になってしまい、全12話で終わってしまったことで、長く読みたかった作品でもあります。



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