女性の友情を描く 第132回直木賞受賞
「対岸の彼女」は、角田光代の作品で第132回直木賞を受賞しています。立場の異なる様々な女性同士の友情と亀裂、思いの深さ、そしてその先にあるものを切なくリアルに描いた傑作長編です。大人になるにつれて関係が難しくなっていく同性の友情、新しく友人をつくることもかつての関係を維持することもうまくいかなくなっていきます。
恋人や夫となる異性を見つけることよりも、同性の友人をつくることのほうが、もしかしたら難しいことなのかもしれません。「対岸の彼女」は、女性同士の微妙な人間関係の中で生じる幸せやすれ違い、様々な思いに寄り添い、ほんの少しの支えになってくれる作品であるといえます。
作品自体も、登場人物の前進していく姿勢により、最後には希望を抱くことができるところも魅力のひとつでしょう。また、読後には、自分を取り囲む友人関係について見直し、改めて考えるきっかけともなり得る作品です。女性はもちろん、男性であっても、また幅広い年齢層の方人々にとっても一読する価値があるでしょう。