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小野寺の弟・小野寺の姉

西田征史の小野寺の弟・小野寺の姉(電子書籍)レビュー

小野寺の弟・小野寺の姉 【電子書籍】

著者 ページ数 クチコミ評判
西田征史 123ページ ★★★★☆

2014年10月公開の映画原作小説

「小野寺の弟・小野寺の姉」は、脚本家であり演出家でもある、幅広くヒット作品を生み出してきた『西田征史』初の小説作品です。2014年10月25日には、同名タイトルの映画化作品が公開(主演:向井理・片桐はいり)されました。

「小野寺の弟・小野寺の姉」は、東京の片隅の木造一軒家に2人で暮らす弟の小野寺進と姉のより子の、ほのぼのとした日常を描いた作品です。それぞれ失恋の痛みをひきずりながらも、冴えないけれどささやかな幸せを大切にしながら暮らす進とより子。40歳になっても彼氏もいない姉のより子は、母親のように家事をこなして、30歳を過ぎた弟の進は、そんなより子に幸せになってもらいたいと心の中ではいつも願っています。

見どころは、過去の失恋からずっと恋愛に消極的になってしまった「進」と「より子」に、それぞれ新しい恋が訪れるところです。久しぶりの恋にとまどい、あまりにも不器用な為になかなか前へと踏み出せない2人が、精一杯の勇気を振りしぼって、新たな一歩を踏み出すところです。ですが、やはり人生はままならずに、またも2人共に恋に破れてしまいます。

過去に自分を振った相手とばったいり出会ってしまったより子が、思わず弟の進を「私のカレシ」といってしまうという、恥ずかしくも可愛らしい嘘に「しょうがねえな」とつきあう進と、弟を失恋から立ち直らせようと、せっせと世話を焼く姉のより子の、言葉にこそしないものの互いに相手を大切に思っている姉と弟の姿は、読者にどこか懐かしい気持ちにさせてくれます。

この作品を読んだあとは、ふと離れたところにいる家族に電話などして声が聴きたくなるような、そんな気分にさせてくれる物語です。



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