一味違ったヒーローが登場する石ノ森作品
『少年同盟』は、『石ノ森章太郎』の作品で『少年』1962年連載と『朝日小学生新聞』1967年~1968年まで連載された2つのものが存在する作品です。『朝日小学生新聞』版のものは、読者に最終回を創造(想像)してもらい最優秀作をそのまま最終回として掲載するといったかなり思い切った実験的試みが行われた作品としても有名です。
皆さんご存知のように、石ノ森章太郎は様々なヒーローをこの世に誕生させてきましたが、その中でも特に今現在の時代にマッチしたヒーローといえば「少年同盟」に出てくるヒーローたちではないでしょうか。ヒーローといっても、この漫画に出てくるのは氏の代表作に見られるような仮面ライダーやサイボーグ009といった特別な存在ではなく、ごく普通の少年少女たちです。
各国で1人ずつ選抜された少年少女たちは、大人たちが生み出した戦争や殺人、人種差別や汚職などの様々な悪と戦います。現在の世界情勢を振り返ればこの漫画の設定だけでも考えさせられるものは非常に多いでしょう。
日本代表として選ばれた風田サブロウを主人公に、相棒イライザらと共に訓練に明け暮れ、行動力や判断力、そして問題に直面した時の倫理観を問われていきます。最近の漫画に読みなれている人は、時代を感じさせる絵柄に少し戸惑うかもしれませんが、読み進めていくうちに時代を感じさせないストーリーの面白さにはまってしまうこと間違いなしでしょう。
これからの社会を担っていく子供たちに読んでもらいたいのは勿論、今現在の社会を作り上げていく大人たちにも積極的に読んでもらいたい漫画です。カゼタやイライザたち同志の奮闘する姿には一見の価値ありです。雑誌『少年』版の単行本は全一巻、『朝日小学生新聞』版は全3巻発売されております。見比べても面白いかもしれません。