心配性は成功する?
「人間は心配するように出来ている」
精神科医である斉藤茂太氏の晩年の著作である本作は、タイトルをみて心配性を克服しようとした読者にとってぎょっとするような一文から始まっています。著者自身も述べていますが、心配性な読者は「なら私たちはどうすればいいの!?」と思ってしまうかもしれません。
しかし、事実人間のみならず感情を持ち、思考して生きている生き物ならば、常に心配して生きているのだと言うことを本書を読めば理解できることでしょう。
本書では「生きていく上で心配をするのは当たり前のことであり、悪いことではない」と述べられています。ならば、なぜ人は心配性であることを克服しようとするのでしょうか。それはそう思っている人の多くが「心配性であることはマイナスなことである」と受け止めているからであると思います。しかし、心配性であることによって成功している人たちは違います。心配性であることをプラスに変えているのです。つまり、心配するということに対する受け止め方によって、心配性であることはプラスにもマイナスにもなるのです。
著者自身や様々な年齢・立場の人による豊富な体験談や、合間に入る図とかわいらしいイラストによって、分かりやすくそして説得力のある論が展開されています。自分が心配性だと思ってる人だけでなく、落ち込みやすいと思っている人も、本書を読んでマイナスからプラスヘ、思想の転換に挑んでみていただけると幸いです。