車がキーとなる妖怪漫画
『怪奇タクシー』は、『森野達弥』のマンガ作品でまさに知る人ぞ知る作品と言えるでしょう。それもそのはず本作「怪奇タクシー」は1999年~2001年にかけて『CAR MAGAZINE JAC』という車マンガのみ掲載した雑誌において連載されていた作品ですので、車にさして興味がない方にとっては、本作を知る切っ掛けが中々なかった作品ではないでしょうか。
上下巻で発売された単行本は、抜粋という形で各話が収録されています。掲載されてない話があるのは残念ですが、それでも連載終了から10年以上たった今日、本作を読むことができるのは嬉しい限りで、貴重な体験です。
まず絵柄を見てもらえればわかることですが「おや、どこかで見たことがある絵だぞ」と多くの方が思うのではないでしょうか。それもそのはず、本作を描き上げた森野達弥は、水木しげるのお弟子さんであったので、その流れを組んでいる絵柄も納得です。
ストーリは一話完結型で必ず車に関した話で構成されます。それはタクシーであったり、バスツアーであったり、風刺的なパチンコ中に幼児を車に放置した話、はたまたカーセッ○スまで、車雑誌に掲載されていた作品なので徹底して車にこだわります。そこに怪談が合わさり因果応報劇が繰り広げられます。なお作者の森野達弥は車を運転できないというオチがつきますが、怪奇タクシーは話の筋が追えないようなカオスな漫画ではなく、しっかりと作られた新しい形の怪談漫画です。