激動する世界経済への指針
日本において1970年代から始まった経済拡大。1980年代前半までに株式や不動産の過剰な高騰で、火のついたような好景気が続き、日本経済はお祭りムードの様相を呈していた。
1980年代後半に入り、特に不動産の資産価値が急上昇し、不動産を持つ人々はより多くの利益を獲得した結果、消費が刺激される状況となり、市場全体の消費が過熱、バブル景気と呼ばれる一連の経済の上昇が起こる。
このバブル景気は、1989年にピークを迎えるが、1991年を皮切りに、株、不動産の価格が急激に低下し、バブル経済は崩壊。以降、日本は長い不景気の時代へと転じる。
2016年現在、未だに不景気から抜け出す事ができない日本。近年、サブプライムローン問題によってアメリカ経済は崩壊し、、拡大していた中国経済も縮小に転じ、、世界情勢にも暗雲が立ち込める状況となっている。
まるで生き物のように変化に富む市場と言う名の魔物にどう対処すればよいのか。日興証券、メリルリンチ証券、ソロモンブラザーズ・アジア証券など大手証券会社を渡り歩き、日本で唯一の金専門鉱山会社を創業した松藤民輔氏が、今の経済動向から市場を生きる指針を綴った一冊。
みんなの感想
◆すべてが繋がる因果関係
「風が吹けば桶屋が儲かる」じゃないけど、様々な国で起きている経済の事情がありとあらゆる形で因果関係を形成していることにビックリしました。本書の中ではかなり古い時代の市場における事件がいくつか例に挙げられていますが、その事件を発端とする経済への影響が、連鎖的に次の事件に発展している上、国家レベルじゃなくて、全世界レベルで繋がっていて、複雑な構図に頭が追いつかなくて大変でした。
◆経済を知る事で人類の歴史を知る
人類の歴史を考える上で、経済以上に重要なものはないだろう。我々の身近な生活の中にある個人レベルのミクロな経済事情。それが、国家間で起きる様々な問題や、外交での駆け引きに始まり、果ては戦争の裏事情という大枠なレベルでの話にさえ、経済事情が深くかかわっている。経済を読み解く事で世界の歴史の動向がある程度説明が付く事がわかり、経済についてもっと考えて行かねばと思わせる内容だった。