笑うせぇるすまんと並ぶブッラクユーモアマンガ
『憂夢』は、藤子不二雄(A)の作品で1991年から1995年までビッグコミック オリジナルで連載されていた青年向けコミックです。ブラックユーモア作品として有名な作品です。
人通りの少ない通りにあるというレンタルビデオショップ「憂夢」。このビデオショップには何かただならぬ悩みを抱えたお客さんがやってきます。そのお客さんたちを幸せにするためなのか、はたまた不幸にするためなのか、ここでは9990円で1泊2日でビデオを借りることができます。そのビデオは見た人の夢を現実のものにしてくれる不思議なビデオなのですが、必ずしも夢は叶うべきものではなく、夢であったほうが良かったものもあるのです。
読者が少し怖いと感じてしまうようなブラックユーモア満載の作品です。同じ藤子不二雄(A)先生の作品「笑うせぇるすまん」を彷彿とさせます。このビデオショップを訪ねてくるお客さんの多くは悪い結末を迎えてしまいます。
中には少し感動的な結末もあります。それでもこの作品全体としては楽な方向に逃げた人々に厳しい現実を突きつけることで、楽をして自分の夢を実現させることに意義はなく、一生懸命努力をした結果叶えることに夢の意義があるということを教えてくれます。夢を見ることの価値自体が薄れてきてしまった現代社会に生きる我々だからこそ、読んでおきたい作品です。