“文学少女”と死にたがりの道化、ライトノベルファンの方なら一度は目にしたことがあるタイトルでしょう。
本作は、2007年度ライトノベルアワードミステリー部門をはじめ、このライトノベルがすごいでは、「文学少女シリーズ」全体として数年にわたって選出されています。
ライトノベルの購入意志の重要なポイントは表紙と言えますが、本作は竹岡美穂氏による透明感があり美しい作画に高い評価があり、本作はこのミステリーがすごい表紙部門で一位を獲得しています。キャラクター部門でも複数名が選出され、また竹岡美穂氏はイラストレーター部門で2009年、2010年の二年連続で一位を獲得しています。
この美しい表紙や挿絵を理由に購入された方も多いと思いますが、この作品の本文はその挿絵に負けないみずみずしさと透明感を放っています。主人公の「文学少女」天野遠子の少女らしい透明感はもちろん、語り手である井上心葉の繊細な内面など、魅力的なキャラクターを始め、実在する文学作品を題材に、切なく美しく紡がれるストーリー。すぐにその世界に引き込まれてしまうことでしょう。
美しく繊細なだけでなく、遠子先輩を始め、多彩なキャラクターが生み出すライトノベルらしいテンポのパートも楽しめ、切ない物語とのバランスもはかられています。漫画化、劇場アニメ化、ドラマCD化などメディアミックスも盛んで、小説以外の分野でも多くのファンを獲得しています。