近代文学史に名を残す文豪たちをキャラクター化
横浜市内の鶴見川付近で行き倒れになりかけていた少年、中島敦。孤児院で育てられたが、ある日、理由がわからぬまま突然追い出された。行く当てもなく、金の持ち合わせもなかった敦は、空腹で動けなくなる寸前であった。
次に誰か通りがかったら、財布を奪ってでも金を手に入れようと立ち上がる敦であったが、ふと川を覗くと、川の中央付近で溺れかかっている男を見つけ、慌てて救出する。ところが、男は自殺しようとしたのに何故邪魔をしたのだと、敦に理不尽な物言いをぶつけてきた。
戸惑う敦を横目に、溺れかけた男の同僚らしい男が会話に加わり、彼らの好意で食事を奢ってもらい、一先ずの危機を乗り越えた。
2人の男に好奇心が湧いた敦は、2人の職業について尋ねると、それぞれ太宰と国木田と名乗り、共に荒事専門の探偵集団、「武装探偵社」で働く探偵である事を語る。そして、今まさに彼らが追っている事件には、敦の存在が大きく関わっているのだった。
近代文学史に名を残す文豪たちをモデルとしたキャラクターたちが、横浜を舞台にそれぞれの代表作をモチーフとした特殊能力で闘う、超能力バトルアクションストーリー。
みんなの感想
◆発想の転換に思わず脱帽
過去の英雄を復活させるとか、武将の生まれ変わりが闘うなど、過去の偉人に由来する登場人物が活躍する設定の漫画がいくつかあるけれど、文豪に限定した作品は斬新だなと思いました。それぞれの登場人物は名前が同じだけで、年齢や容姿は様々ですが、それぞれの文豪が持っているエピソードや、由来を受けた性格設定になっているところもよくできています。またキャラクターのファッションがオシャレで、イケメンと美女揃いというのも見所です。
◆ありそうでなかった設定の妙
近代文学史に多少なりとも造詣がある人間なら、国内や海外を合わせると様々な作家がいて、そういった偉人達が果たして現代のキャラクターとして置き換える時、どういった人物像になるのか想像するであろう。特に各キャラクターが持つ特殊能力と、その関係性が非常によく練られていると感じた。モデルとなった文豪の代表作、作風を特殊能力という形に置き換えるとどういう能力になるのか、性格や考え方からそれぞれの得意分野を持っていたり、そういった設定の妙が光っている作品である。