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新世界より

貴志祐介の新世界より(電子書籍)

新世界より 日本SF大賞受賞作品【電子書籍】

著者 ページ数 クチコミ評判
貴志祐介 488ページ ★★★★

奇妙さにも魅入られる日本SF大賞受賞作品

貴志祐介著「新世界より」は、第29回日本SF大賞を受賞した傑作長編作品です。ホラーやミステリーで定評のある著者の、SF長編作品ということで、ちりばめられた謎や世界観に引き込まれます。また同作は別冊少年マガジンにてマンガ化され、またTV朝日系列でTVアニメにもなった話題作です。

物語の舞台は千年後の未来世界の日本で、主人公の早季が暮らす緑が豊かな町は、注連縄によって結界がはられ、穢れから守られています。この時代の人類は、呪力と呼ばれる超能力を使えるようになっているため、学校では、それを制御するための訓練が行われています。

物語の見どころは、一見穏やかで、秩序が保たれた世界の裏側で進行する破滅と、必死で抗う人類の攻防にあります。早季と同級生たちは、先史文明を記録したミノシロという喋る情報端末に出会い、世界の真実という禁忌の一端に触れ、その後の人生の節目ごとに世界に違和感を感じます。

そして、早季はさまざまな出会いや悲しい別れを経験しながら、大人の女性へと成長します。読者は、物語の前半ではその日本のようで日本で無い不思議な世界設定に入り込み、後半では急展開に次ぐ急展開に目が離せなくなります。

序盤から登場する、町の外にコロニーを作っているバケネズミといわれる生物や、呪力が暴走した人間である悪鬼や業魔に関する、伝説とも史実ともとれる恐ろしい話の存在などが、ストーリーに重要なかかわりを持って浮き上がって来るのも圧倒されます。



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