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新装版 獄中記(1) 地獄篇

新装版 獄中記(1) 地獄篇

著者 ページ数 クチコミ評判
ジェフリー・アーチャー(著)
田口俊樹(訳)
235ページ

貴族議員まで上り詰めた著者の世界的大ベストセラーの獄中体験記

 著者のジェフリー・アーチャーは、大学時代より、活動的な性格で卒業後には会社を立ち上げ、1960年代後半には当時、最年少議員として政界入りを果たす。その後、投資の失敗で破産するが、借金返済のため作家活動を開始。1976年に出版した処女作の「百万ドルをとり返せ」で大ヒットを記録し、見事これを完済。
 一度は1985年に保守党の副幹事長として政界復帰するものの、翌年にスキャンダルが持ち上がり、再び政界を追われる事になった。
 そのきっかけとなったタブロイド紙を名誉棄損で訴え、多額の賠償金を受け取り、名誉を回復する。作家活動も軌道に乗り、支援していたクルド人救済募金の活動が認められ、一代貴族として男爵位を獲得。貴族院議員に名を連ねる。
 1999年、ロンドン市長候補として三度、政界への復帰に意欲を見せるが、名誉棄損で訴えたタブロイド紙の裁判において無実を証言してくれていた友人が、「あれは偽証だった」と突如覚えのない告白をされる。友人の裏切りへの怒りと失意のうちに偽証罪に問われ、刑務所へと収監された。
 政治家にして作家という肩書を持つジェフリーが、刑務所で体験した出来事、職員や受刑者たちの様々な表情を記した獄中記録の一冊。

みんなの感想

◆タイトルとは裏腹に面白い作品

 獄中記という一見重そうなタイトルとは裏腹に、刑務所内で起きる様々な出来事を、読みやすい表現と率直な視点で描いている。最初の刑務所に収監されてから、別の刑務所に移るまでのたった22日間の記録だが、一瞬、刑務所を舞台にした小説かと思ってしまうほど、人種や年齢も違う受刑者や職員たちの多彩なキャラクターに引き込まれる作品だ。決して楽しい環境ではないだろうが、作中での様々な体験に対する著者のリアクションはユーモラスに富んだ文章で面白い。

◆刑務所のリアルが描かれている良作

 刑務所というと、凶悪犯が職員と敵対して殺伐としているような、映画的なものを想像しがちですが、作中の受刑者たちは知的で落ち着いた人たちが多いですね。受刑者と職員同士も慣れ合ってはいないけど、お互いに尊重している部分やうまく共存しているような描写が多く見られました。そんな受刑者たち自身が抱えている重い過去や、犯罪者となった経緯などを語っていたり、出所後に何をしたいか、またそのために努力していることなど計画的な話題についても触れていて、ドキュメンタリー作品として読み応えがありました。



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