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高村光太郎の智恵子抄

高村光太郎の智恵子抄

智恵子抄(美しい表紙で読みたいシリーズ)

著者 ページ数 クチコミ評判
高村光太郎 84ページ ★★★★☆

読書好きという人は実社会にも多いですが、純文学を中心に本を読んできた人というのはそれほど多くはないように感じます。私もその一人で世に多くの有名作品がありながらもなかなか手が回らず縁遠い作品があったりします、私のそれは「智恵子抄」でした。智恵子抄という作品自体は存じていたものの、実際の内容についてはそれほど知らなかったため価格も安いのでこの機会に購読してみました。

一応ご存知ない方のために説明しておきますと、智恵子抄というのは彫刻家で詩人の高村光太郎の妻である智恵子によるポエムだと考えて頂ければ概ね間違っていません。実際に執筆したのは高村光太郎ですが、基本的な捉えはこれで間違っていないでしょう。

智恵子は元々酒造家の娘で福島の生まれでした。高村光太郎に嫁いで東京に行くわけですが、その空気が合わなかったのか自殺を図ってしまいます。自殺は未遂に終わりますが、その6年後に結核でなくなりました。こういった壮絶な人生を歩んだ人物が、どのようなものを書いたのか、というのは大きな勉強となる書でした。

有名なフレーズとして「東京には空がない」というものがあります。このフレーズは、実際に読んでみると感じる所が違ってきます。一節だけ切り抜くと、都会の息苦しさを嘆いたものに見えますが、実際には夫との感覚のズレを嘆いたものだったと感じました。



5件のコメント

アッキー
っていうか、日本の「パラリンアート」は「山下清」ばかりピックアップしすぎ「山下清」よりも前に活躍したこの人の「紙絵」こそもう一度評価すべき
有名な作品ですが今まで読んだことはなかったです。表紙を描かれている作家さんの絵が好きで購入しました。流石有名だけあって内容も素晴らしかったです。
表紙が良くてジャケ買いをしてしまいました。イラストから二人の様子を思い描きながら読めて良かったです。
名無しひろし
智恵子は精神を病んでしまったという話でしたが、それでも智恵子を看病し続け、詩を書き続けていった高村光太郎という人は非常に情が深く優しい人だったんだろうなと思います。そんな人柄が、詩にもよく表れていました。
せつない作品
妻との交流の様子が、とても細やかで優しさにあふれていて、高村光太郎がすごく妻を愛していたことがうかがえました。早くなくなってしまった妻を思って書いた詩に泣けてしまいました。

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