近年まれにみる、屈指の傑作漫画
東京喰種トーキョーグールは石田スイのデビュー作品で、2011年より週刊ヤングジャンプで連載が開始された作品です。また2014年7月よりTVアニメもスタートしました。
物語は大学に通う文学好きで平凡な主人公カネキが好意を寄せるリタという女性と出会うところから始まります。その後、主人公カネキはある事件に巻き込まれ、人の世でありながら人の世に隠れ住むグールと人間のハーフという存在として人生を歩むことになります。このグールという存在はゾンビ的な生物(むしろ吸血鬼の方が感覚的には近いかもしれません)で、このグールは人を喰らうことでしか生き延びることができぬ存在です。力は人間の上位種といってよいでしょう。突然、普通の食事をとることができず人肉しか受け付けない化け物と化してしまった主人公は「人」と「グール」の狭間で苦悩しますが、そんな時に手を差し伸べてくれたのが喫茶店「あんてぃく」の店長です。物語の軸はこの「あんてぃく」の面々を中心に運ばれていきます。
このグールはただの暴力の象徴として人間を狩る者が多数ですが、中には人間と近しい価値観を持ち、人間に好意を寄せるものも存在します。しかし人間に好意を寄せるグールであったとしても人を捕食することでしか生き延びることができず、苦悩の中でなんとか合理性を保とうとする者も・・・。この葛藤と矛盾と愛の関係は必見です。
当然この世界で人間は一方的にやられているだけの存在ではありません。人に害をなすグール(喰種)を取り締るべく「喰種対策局」という治安機関があります。主人公たちが属するグール達の営みが作品の基本的な魅力ですが、このグールを狩る「喰種対策局」の面々の生き様、戦い方も魅力的に描かれています。
人気作品というのは当然魅力的な登場人物が活き活きと描かれているものですが、本作でもそれは例外ではありません。美食家(グルメ)こと月山のエキセントリックぶりには目が離せません。すごい美形キャラなんですけどね。
また電子書籍版も含め単行本にはおまけ的な漫画が掲載されているので、こちらも必見です。