» page top

梶井基次郎の桜の木の下には

梶井基次郎の桜の木の下には
 荻野アンナさん 推薦!
毎年思い出し読みたくなる名作です。

桜の樹の下には(美しい表紙で読みたいシリーズ)

著者 ページ数 クチコミ評判
梶井基次郎 18ページ ★★★★☆

荻野アンナさん 書評

毎年、春になると思い出す。

<桜の樹の下には屍体が埋まっている!>

梶井基次郎の『桜の樹の下には』の冒頭の一行だ。1人で満開を見上げるとき、桜はその美しさで人を不安にさせる。「なぜ?」と毎年自問して、答えが見つからないまま次の季節に移る。自分の言葉では表現できない分、梶井の「屍体」に寄りかかって現実の桜をやり過ごしている。

記憶の中の一行ではなく、全文を読みたい、と思っては忘れていたのが、電子書籍のお蔭で今年はアイスクリームの値段で読めた。春の儀式として、毎年このページを開こうと思う。美しい表紙に包まれた、黒い宝石のような名作を味わうために。

荻野アンナ
1956年11月7日生まれ。 1991年『背負い水』で第105回芥川賞受賞。2001年『ホラ吹きアンリの冒険』で第53回読売文学賞受賞。
2008年『蟹と彼と私』で第19回伊藤整文学賞受賞。
慶応義塾大学文学部フランス文学科教授。

■電子書籍「電気作家」好評配信中!
芥川賞作家、荻野アンナが原発小説に挑む。 鋭い観察眼とウィットに富んだ筆致が冴えわたる、軽快な電気(=伝記)小説ここにあり!
http://www.goma-books.com/archives/25106



4件のコメント

レモンのいれもん
梶井基次郎 の作品は常に読者に思考力と想像力を求める。本作を読み、いろんなディテールについて考えるようになった。美しいものはそのまま美しいなのか、それとも裏に何かを隠れているのか、また不可解です。
名無しの評論家
タイトルは有名ですが読んだことがなくて 今度電子版出たので初めて読みました。冒頭のセリフでミステリーかホラーかと勘違いしてたが読んでみたら全く違った。思い込みってこわいですね。
もとじろう
「檸檬」と「桜の木の下には」 「檸檬」も「桜の木の下には」も純文学なので私には難しいが、なんとなくその美しい表現力と芸術性に目が付く。読み返していくうちに理解が深め、感覚も変わったりするので面白い。
表紙は美しい
梶井基次郎の代表的作品である桜の樹の下には 、何度も読み返しているが、 この表紙がお気に入りで初めて電子版買っちゃいました。表紙の女の子の表情はとても可愛くて切なくて、いろんな感情が混ざっているように見える。こういう和風がいいんですね。

書評を投稿する

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。