人はここまで残酷になれるものなのかと頭をかかえてしまうほどでした。学校でのいじめ問題は昔からあることですが、教師が生徒をいじめるという内容は読んでいても胸が苦しかったです。
小学5年生に進級したマサオ。大学を卒業したばかりの新任教師である羽田が担任となります。羽田はルックスも良く社交的なのではじめこそ生徒や父兄からも支持されていましたが、新任なこともありうまくいかず次第に生徒が嫌われはじめていきます。これを恐れた羽田は事あるごとにマサオが悪いと言い出します。クラスから自分に向けられていた嫌悪感をマサオに向かわせるように仕向けたのです。周りも扇動されていき次第にマサオがクラスからのいじめの対象になっていきます。途中からマサオにしか見えない「アオ」という男の子が現れます。アオは何者なのか、このいじめはどうなっていくのかが見どころだと思います。
なんて悲しくて救いようがない話なんだろう。物語の最後の最後までそう思っていました。しかし、最後の最後に出てきたセリフにはっとしてしまいました。悲しい気持ちが洗い流された気がしました。もしかすると今までのことはここを読ませたいための前ふりだったのではと思ってしまうくらいです。すごくリアリティに溢れた内容にはなっていますが、ぜひこのラストの部分を読んでほしいです。