第19回文化庁メディア芸術祭優秀賞作品
第19回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した本作(Webサイト『ぽこぽこ』にて連載中)の待望の単行本第1巻がついに登場!
晴れて淡島歌劇学校に合格し、通称『寄宿舎』と呼ばれる合宿所に入所した田畑若菜は、寮長でルームメイトの本科生・竹原絹江をはじめ、共に学ぶ同士たちと出会います。
華やかなだけではない、裏では欲と嫉妬が渦巻く世界に足を踏み入れてしまったことに、多少、後悔にも似た気持ちに駆られる若菜でしたが、舞台で活躍することを夢見て期待と不安を胸に抱きながら学校生活をスタートさせる。
ヒロインが1話ごとに入れ替わり、それぞれの人物像を浮かび上がらせていきます。
ミュージカルスターを志し、歌とダンスの優等生たちが集まる淡島歌劇学校をメイン舞台に、少女たちが紡ぎ出す数々の青春物語!
<みんなの感想>
◆この世界観は、まさに志村貴子さんの真骨頂
少女の透明感と女の愛憎の重たさ。相反する空気感が入り混じる生々しい描写が見事。
毎回2人が主役となり、その関係性と2人の身に起こる出来事、心情を描いてくことで、『淡島百景』という物語を表現するパズルのピースがひとつひとつ嵌め込まれていく感じ。
時代背景の違いが分かりにくく途中で一度読み返したが、そのとき以外は世界観に浸ることができた。志村貴子さんらしい作品で、好きな人は本当にハマると思う。
◆張られていく伏線に、ワクワクが止まらない
登場人物のキャラが明らかになっていくにつれ、この人はストーリーにどのように絡んでくるのだろうと想像していくのが楽しい作品です。個人的には伊吹桂子がツボで、学生時代はいかにも歌劇学校にいそうな意地悪キャラといった感じの絶対外せない人物。後に、棘は残しつつも生徒に対する理解もある“教官”になっていく彼女は、やはり、ただ意地が悪いだけの人ではありませんでした。やるせない過去の闇に苦しみ続けながら、彼女がどんな答えを出していくのか、若菜とどのような関わりを持っていくのか。キーパーソンになっていくであろう桂子と、少女たちのピュアだけど湿っぽい物語との絡みに期待大!
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