漫才づくりの基本が学べる入門書
テレビ離れが深刻な昨今、それでもまだまだ活気があるのがお笑いの業界だ。その中でも伝統芸能に近い、歴史のあるジャンルの一つが漫才である。ボケとツッコミの二人の巧みな話芸は、観ている人たちをいかにして笑わせることができるかという、努力の結晶によって生み出された一級品のネタだ。毎年のように大きなコンテストが行われ、多くの漫才コンビが集まり、その狭き門に挑む。漫才一本で生きていけるのは、ほんの一握りの人たち。それでも自分たちの話芸で人を笑わせたいと、多くの若者がその道を目指す。
昨今は、人気の漫才コンビから、大御所と言われる人たちの映像が比較的簡単に手に入る時代。それらを教材に独学で道を切り開いていく事もできるかもしれないが、何をしたら良いかわからないけど、漫才の道に少しでも興味があると言う人に、基礎知識の部分を学び、漫才を始める指針の一つしてオススメできる一冊。芸能界を目指す人のための専門学校である、東京アナウンス学院の芸能・バラエティ科の、特別授業「漫才入門」の内容を書籍にまとめた本書は、ネタの作り方の基本を学べる入門書としては最適な一冊だ。
みんなの感想
◆順を追って分かりやすく
講座の内容を書籍化したということで、漫才のネタの作り方を順を追って丁寧に載せているので、わかりやすく読みやすいですね。なんとなく観ていた漫才ですが、ここまで細分化されていて、色々な手法があることにびっくりしました。笑いに正解はない、という話が書かれていましたが、組み合わせや見せ方でいくらでもネタができそうで、漫才というジャンルの面白さ、人気がある理由がわかった気がします。
◆総合力としての漫才
若手の漫才コンビが、バラエティ番組内でいわゆるおバカな発言をしたり、クイズ番組などでとんでもない間違いをしたりして、視聴者から笑われる。そんな一面を持ちながら、ラジオだったり、書籍だったりではかなりしっかりした内容を語ったり、博学だったりする。
おそらく彼らの本当の姿は後者だろう。漫才はそれだけ、知識や教養、トレンドを逃さない嗅覚、そういった総合力が必要なんだと、この本を読むと漫才をやる人たちの苦労が窺える。