硬派な男の世界を代表する宮下作品
激!!極虎一家は1980年から1982年にかけて週刊少年ジャンプで連載された宮下あきらの作品です。当時の青少年たちから絶大な人気を得ていた『私立極道高校』が残念ながら諸事情により打ち切りとなってしまったため、急遽、作られた漫画です。
登場人物も、『虎』という怪力と走ることだけが取り柄という、田舎の中学生が新しい主人公として描かれていますが、前作の主人公であった『学帽政』たちもそろって出演しています。
本作品は、前半こそ人気のあった前作の主人公に目が行きがちでしたが、話が進むにつれて各キャラクターもいきいきとして描かれ、一貫してバンカラな学生を主人公とする男気あふれる硬派な漫画を描き続ける宮下あきらの試金石となるような作品に仕上がっています。
冒頭で、極道高校を卒業した学帽政たちが『極政一家』なるものを立ち上げているのですが、これがまた面白い設定になっているのです。傷害保険なるものを販売しているのですが、保険加入者が暴力を受けた場合、それがどのような相手だろうと仕返しをするというものなのです。『激!!極虎一家』にかぎらず、彼の作品はともすれば暴力や極道といったものばかりに目が奪われがちですが、その本質は勧善懲悪、友情、人情、義理、正義といった少年漫画の王道といったものでむしろ安心して読めるようなものばかりです。この精神は後に氏の代表作にもなる「魁!!男塾」にも受け継がれる硬派な男の漫画を代表する作品です。